月の裏

怪談や都市伝説などのいわゆる「怖い話」を紹介していくブログ

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夢が悪夢に変わるという予定調和

怪談の王道は、やはり話それ自体で怖がらせなくてはいけない。聞いたら呪われる、といった、話の外に恐怖があるものや、その話が存在するこの世界というものの恐ろしい現実を背景に借りてくる話は、やはり怪談話としては邪道だと思う。(怖ければ何でも良い、という考え方を否定するわけではないが)



そういう点で、オカルト板No.1の怪談として選ばれているのが次の話と言えよう↓。



「猿夢」



正確には、この話は、今現在、「死ぬ程洒落にならない話投票所」では2位なのだが、1位の話は「邪道」な怖い話(現実世界の恐怖を語った話)なので、怪談としては、こちらをNo.1と呼んで差し支えないだろう。



で、例によって、こんな変なリンク先をクリックしたくない(ここも十分変なサイトだがw)という方のためにあらすじを紹介する。ただ、この話は、どちらかと言うと、凝ったストーリー展開で怖がらせる話ではなく、文章がうまい、という評価をもらうような話なので、興味のある方は、以下のネタバレ要約を読むより原文を読んでみて欲しい。






話の投稿者(=私)は、明晰夢、つまり「自分が夢を見ていると自覚できる夢」をよく見る。この話は、そんな私が経験した、あるいは経験する恐ろしい夢の話である。



その夢では、私は遊園地のようなところにいる。そこで、私はよく幼児が載るような、お猿さんの電車に数人の顔色の悪い男女と共に乗る。電車がしばらく進んだところで奇妙なアナウンスが流れる。「次は活けづくり~、活けづくり~」。私が不審に思っていると、突如、電車の一番最後の座席に座っていた男から悲鳴があがる。見ると、小人の様なものが男に群がり、男の胴体を文字通り活けづくり、つまり、生きたまま死なないように解体しているのだ。その惨劇に他の乗客は全く気付く風もなく、押し黙って電車に乗っている。



次のアナウンスは「えぐり出し」であった。今度は、私のすぐ後ろの、最後から2番目に座っている女性が惨殺される。殺し方はやはりアナウンス通り「えぐり出し」。小人達が女性の目を、いわゆるぎざぎざスプーンでえぐり出していくのだ。



私は非常な恐怖を感じるが、これが夢だと分かっているので、自分のアナウンスを聞いたら目を覚まそうと考える。そして、次の私の番。アナウンスは「挽肉」であった。私は目を覚まそうとするが、こういうときに限ってなかなか目が覚めない。やっと夢から抜けたときは、肉をミンチにする電動器具がすぐ体の間際まで迫ったときであった。



そんな夢から4年後。すっかりこの夢を忘れ去っていたとき、再び悪夢は始まった。その晩、唐突に同じ夢が「えぐり出し」の場面から再開される。その後の展開を知っている私は、すぐに目覚めようとするが、なかなか目を覚ますことができない。私の体に凶器がまさに差し迫ったそのとき、私はようやく目を覚ますことができた。だが、目を覚ました私の頭の中に、夢と同じアナウンスが響く。



「また逃げるんですか~次に来た時は最後ですよ~」






よくある恐怖映画のような筋書きを投票所No.1にまで押し上げたのは、やはり投稿者の文才によるものであろう。私は初めてこの話を読んだのは、夜中のそろそろ寝ようかというようなときであり、寝るのに躊躇するほどぞっとしたことを覚えている。



スプラッターの恐怖は何によって決まるか。それはもちろん、殺しの場面の残虐性や血の量などでは決してない。また、殺人鬼のおどろおどろしさとも違う。(その点を勘違いして殺人鬼を全面的な主役に据えた「ハンニバル」は、ヘタするとコメディーか、というほどに怖くない映画になってしまったのは有名なところ。)



いかに観客を、追いつめられていく登場人物たちに一体化させるか。それが恐怖の全てである。登場人物たちと一緒に逃げ、一緒に絶望を感じていく、そのプロセスを存分に共有させる。人間の官能に圧倒的なインパクトで迫る音楽とビジュアルを活用できる映画では、基本的に「逃げる」という行動的なプロセスを共有させてあげれば、それだけで十分に怖い映画が作れる。そうした武器のない小説では、(往々にして凝ったストーリー展開による)絶望感の深まりの方に焦点をあてた方が良いだろう。



「猿夢」の場合、凝ったプロットはなく、単に惨劇が粛々と進行していくだけであるので、一見すると文章にするのは不利だ。しかし、それを覆す大きな逆転の舞台があった。「夢」である。夢の世界で惨劇が襲ってくる場合、逃げ切れないかもしれない、という絶望感は予定調和的に約束されたものであり、淡々とした話の進行に連れて説明不要に高まってくるものなのだ。後はほどほどに抑制を効かせた、だが読み手の感情の変化を待てるほどには長く、それでいて飽きさせない文章で惨劇を描写していけば、確かにスプラッターをショートショートで表現することは可能であり、それを見事に示したのが「猿夢」である、と言えよう。






怪談の季節に向けて、きゃーきゃー騒ぐのが好きなぎゃる達にトラックバックをもらおう!ということで始まったこの企画だが、どんどん、当初の目的にそぐわない方向に進んでいるのは気にしないことにしよう。これも予定調和だ。(意味不明)

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  1. 2005/04/03(日) 22:01:32|
  2. 出典あり|
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