月の裏

怪談や都市伝説などのいわゆる「怖い話」を紹介していくブログ

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見事な怪談

少し怪談からは離れた内容が続いてしまったので、また怪談に戻ろう。

今まで紹介してきた話は、怖いというかちょっとひねった話が多く、怪談好きならニヤッとするような要素がいろいろとあるものの、「怖さ」という観点からのセレクトとしてはどうだろう?という話が多かったかもしれない、と思う。もちろん、何を怖いと感じるかは人それぞれだし、その話が口頭で語られるのか、文章として提供されるのかによっても違うので、「怖い話」という意味での怪談を選ぶのは難しいことなのであるが、それだけに見事な怪談を見つけたときの満足感は大きい。

今日、紹介するこの話も、文句なしに見事な、怖い怪談だと言えよう。一応、要約は載せるが、うまくまとめられていないので、是非、要約を読む前に次の原文を読んでみて欲しい。
「霊柩車」




Kさんという、両親、そしておばあちゃんと一緒に暮らしている若い女性がいた。Kさん一家とおばあちゃんは元々は仲が良かったのだが、数年前、おばあちゃんが寝たきりになってしまってから事情が変わってくる。おばあちゃんは性格が偏屈になり、みんな自分なんか早く死ねばよいと思っている、と妄想してKさん家族を責めるようになったため、だんだんとKさん家族も、本当にそういうふうに思うようになってしまっていた。今では、おばあちゃんは必要最小限の面倒しか見てもらえずますます衰弱し、先行きはそう長くないように見えた。

そんなある晩、Kさんが寝ていると突然、外で車のクラクションの音が鳴るのが聞こえた。はじめはKさんも気にしなかったのだが、しばらくするとまた何回もクラクションが鳴らされるので、腹が立ってKさんが窓から外を見てみると、なんと家の前に大きな、一台の霊柩車が止まっている。Kさんはゾッとして、見なかったことにしてベッドに戻り、頭から布団を被って震えていた。するとその後は何の音も聞こえずに夜が明けた。

朝になって、Kさんは両親に、昨夜クラクションの音を聞かなかったか尋ねてみたが、両親とも聞かなかったと言う。あんなに大きな音だったのに・・・とKさんは不審に思ったが、結局、おばあちゃんを迎えに来たこの世ならざるものだったのではないか、というように考えることにした。しかし、おばあちゃんは相変わらず元気な様子ではあった。

次の日から、毎晩、Kさんの家に霊柩車がやってきてはクラクションを鳴らすようになった。不思議なことに、霊柩車はKさんが窓から見るまではずっとクラクションを鳴らし続け、Kさんが見るとようやくクラクションを止めるのだ。Kさんは恐怖で眠れず、次第にノイローゼ気味になっていった。

霊柩車が来るようになってから7日目の晩。両親は急な用事で出かけないといけないことになった。Kさんも一緒に行くことを希望したが、非常のことを考えると、おばあちゃん一人を置いておくわけにもいかず、家で留守番することになってしまった。仕方なくKさんは両親のいない家で時間を過ごし、ついにいつも霊柩車がやってくる時間を迎えた。

その時間が来るといつものようにクラクションの音が聞こえ始めた。Kさんが窓から覗いてみると、しかし、いつもはひっそりと霊柩車は止まっているだけなのに、今日はその中から何人もの黒い服を着た男たちがぞろぞろと下りてくるのだ!そのうちに、玄関からはチャイムの鳴る音が聞こえてくる。チャイムの音はやがてドアをノックする音に変わり、しまいには物凄い勢いでドアが「ドンドンドンドンドンドンドンドン!」と叩かれるようになった。Kさんは生きた心地もせず、ただじっと身を潜めていたのだが、突然、今度は電話が鳴り響いた。

電話もドアのノックも鳴り続けている。ついに意を決して、Kさんが受話器を取ると、意外にももの柔らかな男の人の声が聞こえてきた。

「○○さんのお宅ですか?」

Kさんがそうだと告げると、相手は警察を名乗り、意外な話を始めた。

「実は落ち着いて聞いていただきたいんですが、先ほどご両親が交通事故で亡くなられたんです。あのう、娘さんですよね?もしもし、もしもし・・・」

Kさんは呆然と立ち尽くした。ドアのノックの音は止んでいた。
霊柩車はどうなったんだろう?
もしかしてあれは両親を迎えに来たものだったのか?
おばあちゃんではなく?
そういえばおばあちゃんは?

そのとき、不意にKさんは後ろから肩を叩かれた。そこには動けないはずのおばあちゃんが立っていて、ニッコリと笑ってこう言った。

































「お前も乗るんだよ」




全然、要約になっていないですね・・・。すみません。

それにしても見事な怪談である。まず、オチが素晴らしい。そのオチから目をそらすためにミスリーディングさせる設定が、そのまま最後の逆転のオチにつながるところも実に無駄無く自然である。話が夜を背景に続き、霊柩車という不気味な小道具で恐怖の雰囲気を盛り上げ、最後の場面ではドアのノックの音ともに何かが起こる、という期待感を盛り上げる。この話、上手な話者から聞いた場合は間違いなく眠れなくなってしまうだろう。短編の映画に仕立ててもはまりそうだ。

こういう話を見ると思うのである。やはり怪談の魅力は何と言ってもオチだ。鮮やかで、背筋が凍るようなオチ。それが怪談の聞き手に最大限の満足をもたらしてくれるのだ。途中の情景描写がいくらスプラッタで恐怖心を煽るものであっても、オチがしっかりとしていなかったら、話している間は楽しませることはできるかもしれないが、結局、竜頭蛇尾の感想を抱かせることは必至だ。むしろ途中の盛り上げが怖ければ怖いほど、なお一層、それをきっちりと受け止めるオチが必要となるのだ。

ホラーに限らず、近頃の映画やマンガといった娯楽作品には、途中の盛り上げだけでひたすら話をつなぐものが多い。いわゆる、伏線だけで話が終わってしまうようなヤツだ。確かに、それでもその最中は楽しませることはできる。だが、いやしくもクリエイターを名乗る者が、そんな安易な手法に満足するのは許せないものがある。オチに真剣に取り組まない、というのは、頭を使うことの放棄であり、想像力の貧困を自らさらけ出す以外の何ものでもない。安易な続編ブーム、2世ブームと同じ構造だ。すごいストーリーを書いてしまったのなら、次はもっとすごいストーリーを!そういう意欲を失い、安易な銭儲けに走ってしまうのは堕落というものだろう。
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  1. 2005/07/24(日) 00:52:40|
  2. 出典あり|
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ホラーもの

 私は、ホラー映画で絶叫したり怖がったり泣いたりなんて経験を、実はしたことがないです。 リングも見た。呪怨も見た。死国も見た。エクソシストも見た。学校の怪談も見た(それはコメディに分類するべきでは)。着信アリは見てないけど読んだ。その他色々、B級といわれ
  1. 2005/10/19(水) 18:03:43 |
  2. ???

幽二郎

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