月の裏

怪談や都市伝説などのいわゆる「怖い話」を紹介していくブログ

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タダで未来は教えられないよ

ハリウッドのホラー映画では、観客たちが「やめときゃ良いのに・・・」とあきれるのをよそに登場人物たちはわざわざ自ら危地に赴くことが通例であるが、自らわざわざ危険を冒す、という状況設定は、怪談では古くからよく見られるものである。

彼らは何故に危険を冒すのであろうか?
ハリウッド映画で多く見られるように、単なる気まぐれやいたずらでそうする場合ももちろんあるが、やはり何かしらの見返りのために危険を冒す、というのが、現実世界と同様に恐怖世界でもポピュラーなエクスキュースである。

現世、特に昨今はリスクの見返りと言えば「金」という身も蓋もない認識が普及してしまっているが、どんな人間にとっても「金」がその渇望するナンバー1となったのは、最近の話なのではないだろうか。ちょっとした失敗が不条理なまでの悲劇的な結果をもたらす怪談の世界において、そこまでのリスクを冒してまでも人々が求めたくなるもの・・・そのナンバー1は未来を知るということではなかろうか?

前置きが長くなってしまったが、今日、紹介するのはロシアの現代のフォークロア。「スペードの女王」という話である。



鏡の中には、スペードの女王、という美しく全知の存在が棲んでいる。

スペードの女王を呼び出すには、クリスマスなどの大きな祭日の夜中の12時に暗い部屋で呼び出しの儀式を行う。その部屋の窓は黒っぽい布等で覆い、自分は毛布を被る。左手には丸い手鏡を持ち、右手にはスペードの女王のカードを持つ。カードを鏡に映して、鏡の端に沿って動かしながら、スペードの女王が現れるまで「スペードの女王、現れよ」と唱え続けるのだ。すると、鏡が光り、スペードの女王が現れる。

この世の存在ならざる彼女は大変、美しい。だが、決して彼女に「美しい」と言ってはいけないのだ。彼女が現れたら「醜い」と言い、汚い言葉を使わなくてはいけない。このとき対応を間違えると、彼女に絞め殺されることになってしまう。

その後、彼女に3つだけ質問をすることができる。それは、「私はいつ結婚するのか」、「子供を何人持つのか」、「将来の夫はどんな人か」、「何歳まで生きられるのか」・・・といったような質問だ。

質問の答えを得られたら、毛布をどけて明かりをつける。スペードの女王は光を恐れるので、そうすることで消えてしまう。



以上は、ロシアの決して新しくないロアということなのだが、たいていの人は、これと似たような話を子供の頃に耳にしたことがあるのではないだろうか?

夜中の鏡を相手に危険の伴う儀式を行い、自分の未来を知る、という話は、日本では怪談として非常に流布しているものである。ロシアにもほぼ同じような形の話がある、というのは驚きである。

未来とは、誰にとっても興味の対象であり、特に、残酷な言い方をすれば無知あるいは無恥ゆえに無限の可能性を思い描ける子供たちにとっては、それは自らのこれまでのまだ短い人生をいとも簡単に引き替えにできてしまうほどのものなのだろう。

大人になってまだ、リスクの伴う種類の「占い」をする人は滅多にいないだろう。それゆえ、リスクを吟味したつもりで自らの受ける「占い」を選び、その結果、「占い」を行う時点では頭からリスクという概念がすっぱりと抜け落ちて、却って大きなリスクにさらされる大人が多いことは皮肉なことだが。

大人にとっても子供にとっても、自分の未来に真剣に向き合う、ということが大きな冒険であることは本来、変わりはないのだ。だが、恐れることはない。スペードの女王は美しく、冒険は顧みてみればそれ自体が魅力のあることなのだから。



スペードの女王で、もう一つ興味深い点は、彼女に決して美しい、と言ってはいけない点である。なぜか?

これは私の勝手な解釈なのだが、彼女に素直に美しい、と言ってしまうことは、彼女の力を彼女に知らしめ、どちらが相手に従うべき奉仕者であるのか、という点を危うくしてしまうからではないだろうか?

魔術師が悪魔と契約を行う際の常識でもあるが、使役を行うときは、決して、相手に自分以上の力があることを知らしめてはいけないものである。暴君は力で奴隷を押さえつけるのではない。奴隷自らが自らを奴隷たらしめるようにするのが支配というものの性格なのだ。

支配というものの性格を知ったところで、私たち自身が支配者になることは滅多にないし、むしろそれを行わないように注意することにその知識を使いたいものだが、自分自身が自分自身の暴君になっている、ということもよくあることだ。

本当は美しいスペードの女王、光を恐れるスペードの女王、それは実はあなたのことではないだろうか?
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  1. 2005/06/04(土) 18:59:26|
  2. 出典あり|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2
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コメント

鏡の世界
>スペードの女王で、もう一つ興味深い点は、彼女に決して美しい、と言ってはいけない点である。なぜか?

僕の解釈では、鏡の世界では言葉の意味も反対になるので、鏡の女王に向かって「醜い」と言えば褒め言葉なんです。
多分、質問に対する女王の答えも、反対の意味で受け取らないといけないんですよきっと。

でも「反対」って難しいんですよね。「逆」なのか「裏」なのか。何を支点に「反対」なのか。鏡に映ったモノは、左右は逆になるけど上下は入れ替わらない。
きっと、女王の答えを正しく解釈するのは難しいことです。
  1. 2005/06/05(日) 00:03:25 |
  2. URL |
  3. jisx6004 #mQop/nM.
  4. [ 編集]
!っぬな
?!はとたっあが釈解なんそ

確かにそちらの方が素直ですね・・・。ってか、それに違いないでしょう。全く気付きませんでした。

オカルト脳になってしまっているかも・・・。

ちなみに、鏡に映ったものは、左右は入れ替わりませんよ。あれは、上下が入れ替わってるんですw。
  1. 2005/06/05(日) 00:13:27 |
  2. URL |
  3. Uジロー #-
  4. [ 編集]

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幽二郎

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